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次世代に解を挑戦のプロット

PROJECT REPORTS 001

共創で再エネ拡大の課題に具体策を。(2/5)

世界初の分散型ID活用VPPシステムの構築を開始

NR-Power Lab株式会社 代表取締役社長 中西 祐一, 最高技術責任者 東 義一, 事業部長 原田 忠克, シニアマネージャー 疋嶋 秀敏/ CollaboGate Japan株式会社 代表取締役社長 三井 正義 / 株式会社Sassor 代表取締役社長 石橋 秀一 , 取締役 矢嶋耕平

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今回開発するVPPシステムは、既存のVPPシステムのどのような課題に対応するものですか?

NR-Power Lab 東最高技術責任者(以下、東):対応すべき課題は、主に3つあると考えています。

 ひとつ目に、現在のVPPシステムは、大規模なエネルギーリソースだけを制御するものに偏りがちなことです。私たちが考える再エネ拡大へのプロセスでは、規模の大小にかかわらず多様なエネルギーリソースをひとつのVPP事業者が集約して制御するということが必要です。確かに大規模なエネルギーリソースに絞ったほうが開発も効率的ですし、ビジネスの観点からは当然のことなのですが、互いに補完し合う分散型電源の考え方は、エネルギーリソースの多様性そのものが大切だと考えています。

 2つ目に、電力というライフラインを担うVPPシステムには高い信頼性が求められます。これまで、大規模なエネルギーリソースのセキュリティは、専用線を用いるなどインターネットにつながないことで守られてきた側面がありました。しかし大小さまざま、多種多様なエネルギーリソースを効率的に制御するには、コスト面を考慮してもそれらをインターネットにつないで制御することは避けて通れないと考えます。そこに、従来型のセキュリティの形をそのまま持ち込むのは現実的ではありません。膨大な数のエネルギーリソースにIoTデバイスとしての信頼性を如何に妥当な手段で付与するか、という工夫が必要になります。

 3つ目に、VPP運用の現場では、人によるオペレーションがまだ多いというのが現状です。例えば、電力需要がひっ迫するという予測が立った場合、エネルギーリソース間で人同士が連絡を取り合い操作しているということがあります。人によるオペレーションが多ければ、それだけ属人的な要素もあります。しかし、多くのエネルギーリソースを抱え、スピードも要求される場合には、それらをすべて正確に伝達しミスなく操作することには限界があり、予測、人的な伝達、操作を自動化する必要があります。

どのようにしてこれらの課題をクリアするのですか?

東):今回、CollaboGate JapanとSassorの2社に、VPPシステム構築の共創パートナーとして参画いただきました。

 多様なエネルギーリソースの制御、高度なセキュリティレベルと経済性のバランス、この2つの課題をクリアするために着目したのが、ブロックチェーンを利用する分散型IDの仕組みです。ビットコインなどの仮想通貨を起源とするブロックチェーン技術は、データを共同管理することで、信頼性や透明性を担保できる、といった技術であることはご存じかと思います。

 NFT等のFinTech分野、電力やLCA(Life Cycle Assessment)等のサプライチェーンマネージメント分野への適用と同様に有望視されてきた適用分野に「ID」分野があります。2021年ぐらいから国際標準化も推進されており、CollaboGate Japanはその分散型IDを、世界で唯一、人ではなくモノ、つまりIoTに適用するサービス「NodeX」の開発を進めています。この技術は、エネルギーリソースをインターネットにつなぐときの諸問題を解決するピースのひとつ足りえると考えました。VPP/エネルギーリソースのIoTに分散型IDを活用するのは世界初の試みです。

 また、Sassorの持つ蓄電池制御最適化AIの技術で、太陽光パネルの発電量を予測し、消費電力予測に基づいて最も経済性が高くなるよう、蓄電池をはじめとするエネルギーリソースを自動制御することができるようになります。この技術の応用で、エネルギーリソース運用の自動化の課題がクリアできると考えています。

 これらの技術を取り込み、私たち独自のVPPシステムの構築を目指しています。

[次ページ]共創パートナーCollaboGate Japanに聞く「分散型ID」とは?
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