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次世代に解を挑戦のプロット

PROJECT REPORTS 006

2024.08.30

子どもたちが身近に感じられる
地域のエネルギーポテンシャル。(2/4)

山形県長井市の全小中学校で、再エネの見える化システムの実証を開始。

長井市総合政策課 再生可能エネルギー推進室 主査 斯波 優美子, 係長 渡邉 脩太 / おきたま新電力株式会社 専務取締役 江口忠博 / NR-Power Lab株式会社 シニアエンジニア 兼 事業企画担当 尾前 秀樹, 開発チームリーダー 上山 凌

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分かりやすく伝わることで、システムを見ることを習慣に。

今回検証する再エネの見える化システムとはどのようなものですか?

NR-Power Lab株式会社 開発チームリーダー 上山 凌(以下、NR-Power Lab 上山):ブロックチェーンを活用し、電気がどこで作られて、どこで使われたのかの情報をトラッキングできるシステムで、今回の実証でモニターに表示している項目は以下のとおりです。

発電側
・発電所名
・電源区分(水力・太陽光・バイオガスなど)
・発電所別の30分毎の発電電力量、積算値、割合
・電源別の30分毎の発電電力量、積算値、割合
・過去(データ取得開始が始点)の発電電力量
需要側
・需要場所名
・需要別の30分毎の消費電力量、積算値
・過去(データ取得開始が始点)の消費電力量
・需要別の地産地消率、CO2削減量
・需要別の充当発電所名、充当電力量、発電所別充当
割合、発電所別充当電力量
・契約電力値

NR-Power Lab 上山:子供から大人までそれぞれ異なる関心やニーズがあることを考慮し、システムを開発する際には、誰もが理解できるようなコンテンツの多様性とカスタマイズ性を重視しました。見た人が自分の興味や必要に応じた情報を容易に得られるように工夫しています。

長井市 斯波:実証前から市の教育委員会学校教育課と協議し、子ども向けの画面表示はどうあるべきかの要望事項の整理をし、システム開発のNR-Power Labと内容を共有して、実現の可否、優先順位の設定などを行いました。

システムの画面表示が、子どもたちや先生方に分かりやすく伝わることでシステムを見ることを習慣化できると考えていたため、実証事業ではあるものの、スタート時の内容を重要視していました。NR-Power Labには大半を採用していただき、時間がないなかでもシステム開発をしていたただきましたことに大変感謝しています。

おきたま新電力 江口:今回の見える化の取り組みでは、市内学校が地域の再エネで電力を賄っていることを伝えますが、今後の見せ方として、まだまだ多くの再エネが地域外に流れている事実を知っていただく見せ方にできればいいですね。

今回は、再エネの地産地消の見える化について取り組みますが、長井市として掲げる脱炭素の取り組み達成には、地域の皆さんが、地域の再エネを使っていただくことが、その達成の推進になることも知っていただきたいと思います。

NR-Power Lab 上山:現場での実証が始まったことで、今後、実際に目にする利用者からの声が上がってきます。今後の事業展開の際に、多くの利用者から満足いただけるよう、このような実証を通して表示させるべき項目や指標をさらに改善していきたいです。

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